第三者だから話せること

対話, 徒然

(ふと思い出したお話です。アイキャッチ画像はそのお話の時に使う言葉マップです)

「いい距離感」

私は普段フォトグラファーとして活動していますが、あるポートレート撮影会の事前のお話で、とても印象的な言葉をいただきました。

「座間さんっていい距離感にいますよね。家族や身近な人でもないし、
お客さんや取引先でもない。そんな関係性だから話せることがあるなって思いました。」

予想外の深い対話

フォトグラファーはある意味では機械的・機能的な存在になると思うのですが、
「やりたい!これが撮影に必要だ!」と信じた「事前のお話」が、私に特別な対話の場を提供する存在となっていたようです。

あるとき、クライアントの方の人生の決断について伺う機会がありました。
その理由を尋ねると、思いがけず家族との深い物語が語られ始めました。
その方の価値観の形成に大きな影響を与えた、誰にでも話せるような内容ではない、家族との経験でした。

また別の方は、年齢についての考え方や、
誰にも言えずにいた「本当にやりたいこと」を静かに打ち明けてくれました。
私自身も、普段気軽に会話する関係性の人からは見られないような表情で語られるその方の言葉には、信頼を頂けていることを強く感じました。
その後「話しやすい環境を作る能力がある」と評していただきました。

お話の撮影への影響


写真を撮られることに苦手意識を持つ方は少なくありません。
特に初対面では、その緊張感は顕著です。
しかし、事前の対話を重ねることで、その空気は確実に変化していきます。
私自身も、クライアントに対して思い切った提案ができるようになる。これは相互の信頼関係があってこそ可能になることだと実感しています。

気づきの連鎖

こういった対話は、家族との物語に限らず、私自身の持つ人間関係を見つめ直すきっかけにもなりました。

異なる年代の方々の価値観や興味に触れることで、世代を超えた理解が深まっていきます。

元々は「ポートレート撮影のために被写体の方を知る」という単純な動機から始まった事前対話。しかし今では、それが私にとって最も貴重な学びの時間となっています。

話し手の方は自由に想いを語り、その過程で自己理解を深める。私はその経験から多くを学ばせていただく。
この相互作用こそが、「第三者だからこそ」生まれる特別な関係性なのかもしれません。


この記事を読んでくださったあなたも、もしよろしければ、お話ししませんか?
きっと、あなたの中にも、誰かに伝えたい物語が眠っているはずです。

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